第五十二話 「生涯現役 理由見つかった」

第五十二話 生涯現役 理由見つかった

地域にも開放され、にぎわった「たつだの森保育園」の夏祭り=熊本市北区、7月26日

今春、熊本市の北バイパス沿いの竜田に「たつだの森保育園」が誕生しました。社会福祉法人城北会が運営。理事長は妻の静江、園長は吉井佳代さんです。
 この土地は幼なじみの紹介で手に入れました。相場より安いと思って買ったら斜面が多く平らな所がありませんでした。事業用地として利用するには整地に資金が必要でした。私の無知が災いして、逆に高い土地を買ったことになりました。
 それでも、何か利用価値があるはずです。グループ会社の店舗設計・施工の「美創」に事業計画を立案させましたが、いい案が出ません。やがて雑木が繁茂し、ご近所からきれいにしてくれと苦情がきてしまいました。
 困り果て、澤田昌作市議に相談したら、周辺は住宅密集地で保育園が不足しているとのこと。「保育園の事業計画をつくって市に申請したらどうだろう」とのアドバイスをいただきました。
 早速設計にかかり見積ってみたら、予算をはるかにオーバー。特に整地費。地盤が悪く、擁壁を設ける必要がありましたが、費用は膨大でした。どこの建築会社にも断られてやってくれません。深く掘って地盤を造るのですが、掘ってみないとわからない。リスクが大きかったのです。
 妻は経済観念がなく、早くも保育園ができると勝手に決めこんでいました。保育園の夢を絵にして私の部屋に飾る始末です。日ごろから夢は絵にして目に訴える、ビジュアライズされた夢は必ず実現すると、人に言っているのを知っていて作戦を立て、私を説得にかかったのです。
 妻には弱い。社会福祉法人に土地と多額の寄付を約束させられました。熊本市の認可がとれて建設にかかると、周辺工事の整地にまた金がかかりました。
 計画段階でオーバーした予算から半年しか経過してないのに、建築資材、人件費の高騰で予算はさらに3割以上アップしました。私は夢に数字を入れて現実に近づけないといけませんでした。
 今年6月で社長を引退しようと思っていた矢先、寄付額がさらに増加、社長を続けることにしました。生涯現役の理由が見つかったのです。100歳まで働いて全額寄付してもまだ不足。いずれ3人の子どもたちにも寄付をお願いしようと思います。