第四十九話 「働くことは素晴らしい」

第四十九話 働くことは素晴らしい

来店客を応対するヨネザワ社員=9月1日、熊本市中央区の本店

70歳を過ぎて、同年代の人が仕事の現場から退いたり、病気になったりで、高齢者の仲間入りしたことを自覚することが多くなった。古希と言われるとなおさらである。
 心身ともに健康でいるためにも生涯現役で百歳まで元気に働き、「ピンピンコロリ」であの世に行けたら最高だと思う。
 振り返れば、働くことは素晴らしい。働けば幸福になれる。いかなる難局も働いて解決するしか道はなく、本気で働けば必ず道は開けると実感してきました。
 貧しい生い立ちで、「働かざる者食うべからず」と、働けることの有難さが体に染み付いています。食べるために本能的に行動し、働いて、それぞれの年代を生き抜き、自分の世界を創ってきました。
 現在、会社規模は大きくなり、グループ売り上げ規模は300億円を超え、従業員数も2000人を超えました。九州各県でお客さまのご支持をいただいています。ありがたく、もったいないことです。
 だからこそ忘れてならないのが子どものころ、脳裏に焼きついた働くことへの執念。
 現在恵まれた環境にあるからといって贅沢をしようとは思わないし、暮らしぶりを変えようとも思いません。辛抱することは、創業精神の何よりの強い味方です。辛抱し我慢するのは、人によって尺度が違うので人に強要しません。
 しかし、辛抱することの大切さを私自身が忘れないために反復し、再確認しています。辛抱することの価値を見い出すために夢があり、目標が設定されるのです。
 価値ある目標に向かって階段を一歩一歩前進していることを自覚できるシステムを構築し、毎日の働きが目標に少しずつ近づいていることを確認し、そこに辛抱する価値を見いだしています。目標達成の満足感に浸る。目標未達成の悔しさを味わう。何と素晴らしいことでしょうか。
 働くことは夢を育んでくれます。もっと働きたいと小さな店を持つ。小さな店に共感する人たちが集まる。小さな店が大きな夢に向かって小さな一歩を踏み出す。共感する人たちも一緒に歩み連なります。小さな一歩一歩を繰り返しているうちに、夢は必ず実現するのです。